友達オーディション
麦茶
椎名の終了合図とともに私はその場に倒れ込んでいた。
全身汗だくで、呼吸が荒くて仕方ない。
吸い込む空気は甘くて胸焼けが止まらない。

「女子たちも全員よく頑張りました。はい、ご褒美の麦茶」
椎名が紙コップに入った麦茶を差し出してくる。
喉はカラカラで、冷たい麦茶を我慢することができなかった。

私は上半身を起こしてその麦茶を一気に飲み干す。
ゴクゴクと喉を鳴らして冷たい麦茶が喉を通り過ぎていくたびに、生き返っていくようだった。

あぁ……おいしい。
最後の一滴まで飲み干したとき、なんだか甘い味がした。

麦茶に砂糖を入れているんだろうか?
そう考えたとき、頭がグラリと揺れた。
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