友達オーディション
☆☆☆

額にヒヤリと冷たいものが乗せられて意識が覚醒していく。
目を開けるとそこは教室で、私は床に寝かされていることがわかった。

だけど頭の下には柔らかなものがしかれているようだ。
頭の位置を移動して視線を移動させると、すぐ近くに椎名の顔があった。
私は椎名を見上げる格好で横になっていて、頭の下には椎名の太ももがあるみたいだ。

「私……?」
椎名に膝枕されていることに気がついて慌てて上半身を起こす。

周りには他のメンバーもいて、心配そうにこちらを見つめていた。
「気がついた? すぐに目が覚めてよかった」

椎名の言葉に私は自分が気絶していたのだと思い出した。
だけどほんの数分間の出来事だったようだ。

起き上がった拍子に額から落ちたのか、濡れた花柄のハンカチが床に落ちていた。
「これ、誰の?」
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