友達オーディション
名前を呼ばれただけで嬉しくて頬が熱くなってくる。
椎名の言う通り、私は生まれ変わったのだと思う。

ほんの数分間気絶している間に、気分もすごく良くなった。
メマイは消えたし、甘い香水の匂いも心地よく感じられる。

「よかった」

重人が心からため息をついて呟いた。
その気持が、今の私なら痛いほどによくわかる。

チャンスはまだみんな平等に持っているのだ。
これほど心強いことはない。

「それじゃ、次のテストの説明をするわね」
椎名は黒板に《毒物選手権》と書いていく。

「毒物ってなぁに?」
千佳が質問すると「みんな化学室には入ったことあるよね?」と、椎名が質問しながら振り向いた。
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