友達オーディション
ニヤつくのを抑えることもできないまま、教卓へと向かった。
「これが私が持ってきた毒物だよ」

そう言って黒い袋と割り箸を置く。
みんながどんな毒物を持ってきているのかわからないから自信はないけれど、それでもあの中では一番強そうなものを選んできた。
「お疲れさま」

そうやって椎名にねぎらいの言葉をかけてもらえると、もう何でもできそうな気持ちになってくる。
そしてこのときようやく、春美たちが椎名のパシリのようなことをしていた理由が理解できた。

椎名に気にかけてもらえることがこれほど嬉しいなら、誰だってパシリになる。
自分が今までそれをおかしなことだと考えていた事のほうが、よほどバカバカしい考え方だったんだ。
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