友達オーディション
咄嗟のことでうまく挨拶できなくて頬がカッと熱くなるのを感じる。
私も千佳と同じように自分の頬を両手で包み込んだ。

「千佳、直樹に告白しないの?」
照れている私を見てニヤニヤとした笑みを浮かべる千佳。

私はぶんぶんと左右に首を振って「こ、告白なんてそんな……そ、そんなんじゃないし!」と必死に否定して、大股で廊下を歩き出す。
自分でもわかるくらいに頬が赤くなっている。

「でもさぁ、直樹くんも人気があるって聞くよぉ? 1年生の頃から好きなんでしょう?」
千佳の言葉が容赦なく追いかけてきて、諦めて歩調を緩めた。

千佳の言う通り、私は1年生の頃から直樹のことが好きだった。
出会いは文化祭のとき。

私のクラスはたこ焼き屋をやったんだけど、ソースが切れてしまって1人焦っていた。
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