友達オーディション
直樹の後から秀樹がビンに手を伸ばす。
だけど直樹は素早くその手からすり抜けて、一番近くにいた私へ向けて駆け出していた。

咄嗟のことで身動きがとれない。
直樹は大きな一歩を踏み出しながらビンの蓋を開けている。
まずい!
弾かれたように教室内を逃げ回る。

狭い教室内ではビンの中身をぶちまけられたら終わりだ。
それなら教室なら出て逃げてしまえばいいのに、それはできなかった。

そんなことをすればオーディションが途中で終わってしまう。
それだけは、避けたい。
懸命に走って直樹から逃げていると、途中で英明が直樹に追いついた。

後から直樹の体を羽交い締めにして、持っているビンを奪い取る。
「くそっ」
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