友達オーディション
英明が拳を振り上げて直樹に襲いかかる。
直樹はそれを素早く交わして机の下に潜り込んだ。

力では英明の方が強そうだけれど、直樹には俊敏さがある。
どれだけ力が強くても当たらなくては意味がない。
直樹は机をうまく利用して英明の攻撃を交わし続けている。

「くそ! ちょこまか逃げるんじゃねぇ!」
イラ立った英明が椅子を持ち上げて直樹の頭上へと振り下ろした。

直樹は机の間に身を屈めてやり過ごす。
英明が振り下ろした椅子は机の天板に当たってガツンッ! と大きな音を立てた。

その衝撃で両手がしびれたのか、突然英明が苦悶の表情を浮かべて椅子を落としてしまった。
直樹はすぐに立ち上がり、英明が落としたばかりの椅子を拾い上げると、英明の背中を殴りつけた。
< 141 / 213 >

この作品をシェア

pagetop