友達オーディション
英明はまだ死んでいないのだ。
顔ばかり殴られてパンパンに膨れ上がり、見る陰もなくなったのに。
「人間って脆いのか強いのか、どっちかわからなくなるわね」

椎名はショック死してしまったしのぶと、まだしぶとく生にすがりついている英明を交互に見て言った。
「それはとても難しい問題だと思うよ」

私は笑いながら返事をする。
椎名はたぶん、とても賢い子なんだろう。

だからこんな風に効率的な友達作りをしようとしているし、生死について敏感なのかもしれない。
ふらりと立ち上がった直樹が近くの机に手を突っ込んだかと思うとペンケースを取り出した。

それは誰のものなのか、私は知らない。
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