友達オーディション
「次に戦ってもらうのはこのふたりだよ」
椎名が黒板に文字を書いていく。
それは重人と千佳の名前だった。

隣にいた千佳が一歩後ずさりをして呼吸を荒げた。
さすがに緊張しているんだろう。

ここで勝利しないと次に進むことは永遠に叶わないんだから。
「わかった」

青ざめた顔で重人が頷き、千佳とともに教室中央へと向かう。
さっき掃除をしたときに椎名の指示で机をドーナツ形に集めていた。

その真ん中で戦えばボクシングを観戦しているような気分になれるかもしれないと言っていた。
椎名はふたりがドーナツ状の円の中に入るのを確認してから、通路のために開けていた机一つ分を塞いだ。
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