友達オーディション
よける暇もなくそれを右頬にまともに受けてしまった。
ヨロヨロしているくせに力は強くて、ふらついた。
さすがに春美も本気なんだろう。

私はすぐに体制を立て直して春美の脇腹に蹴りを入れた。
柔らかな肉に自分の足が食い込む感覚がして、春美が横倒しに倒れ込む。

すぐに覆いかぶさろうと思ったが、仰向けに倒れ込んだ春美がその体制で蹴りを繰り出してきてので避けてしまった。

春美は立ち上がり、また最初の位置へ戻る。
春美は弱そうに見えたけれど、私と互角くらいの力なのかもしれない。

春美が繰り出して来たパンチを交わして腹部めがけて拳を突きつける。
が、それも同じようにかわされてしまった。

次に繰り出したパンチも避けられてしまい、次第に焦りが募り始める。
ここまで互角だとは思っていなかった。

互いに一歩も引かず、動きも似たようなものだった。
このままじゃ体力がない方が負けてしまう。
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