友達オーディション
自分にできることだろうかと、期待と不安が胸に広がっていくのを感じる。
「それじゃみんな、ひとり一脚ずつ椅子を持って来て、そこに座ってくれる?」

その指示に従って私達は教室中央に椅子を用意した。
さっきまで机でリングが作られていたけれど、それも椎名の支持によって片付けられていた。

今教室中央には3つの椅子が置いてある状態だ。
私は自分の持ってきた椅子に腰をかけた。

右隣が直樹で、左隣りが千佳だ。
ふたりに挟まれていると緊張が伝わってきて、こっちまで余計に緊張してきてしまいそうだ。

「そのまま座っててね」
椎名はそう言うと教卓の下から結束バンドを取り出して近づいてきた。
教卓の下にはきっと大きなカバンがあって、その中に必要なものをすべて入れてきているんだろう。
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