友達オーディション
意識的にそう考えるようにしてまた器具を選び始めた椎名の後ろ姿を見つめた。
椎名の体は無駄な肉が少しもついていなくて、後から見てもスラリとして美しかった。

腰はキュッとくびれていて、動くたびに小さなお尻に視線が向かってしまう。

同棲でもこんなに意識してしまうんだから、異性になると椎名から目が離せなくなるんじゃないだろうか。

「これに決めた!」
十分に時間をかけて選んだ器具はペンチだった。
それは新品みたいで、蛍光灯の光を反射している。

咄嗟に、春美の肉片がこびりついたカッターナイフの刃を思い出してしまった。

「今からこれでみんなの爪を剥いでいくよ。たぶん悲鳴は我慢できないだろうから、舌を噛まないようにハンカチを噛ませておくからね?」
椎名の事前の説明を受けて直樹が体を硬直させる。
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