友達オーディション
直樹が体を跳ねさせたと同時に椎名が「やっと一枚!」と、声を上げた。
直樹のどの指の爪をはいだのだろう。
「もう1枚ね」

椎名が再びペンチを操っている。
だけど直樹はもううめき声をあげなかった。

さっきの痛みで麻痺してしまったのか、ボロボロと涙を流しながら天井を見上げているばかりだ。
2枚目になってコツを掴んだのか、今度はスムーズに爪が剥がされたようだ。

「できた! う~ん。どうせだから全部やっちゃおうかな? じゃないとバランスも悪いよねぇ?」
と、椎名の独り言が聞こえてきた。

もう終わると思っていた拷問はまだ続くらしい。
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