友達オーディション
最初よりもおとなしくなったと持っていた直樹がまだ体をビクビクと跳ねさせた。
痛みのせいで激しく痙攣しているのかもしれない。
直樹は天井を向いたまま必死に意識を保っている。

「はい、これで10本全部取れたよ!」
十分に時間をかけて椎名は直樹のすべての指の爪を剥ぎ取ることに成功したようだ。

その証拠を見せつけるようにして、血のついた10枚の爪を私達が見える床に置いた。
元々ビニール袋を用意していたようで、直樹の形のいい爪はすべてそこに入れられていただ。

「うっぷ……」
それを見て嘔吐したのは千佳だった。

千佳は少し前の春美のように土気色をしていて、耐えきれずに口からボトボトと胃の内容物を撒き散らしている。
「ちょっと、私に汚いものを見せないでよね」
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