友達オーディション
私は窓辺に立って大きく深呼吸をした。
体の中に蓄積していた澱のようなものが浄化されていく気がする。

「これだけの死体を溶かすのは無理だろうな」
直樹が5人の死体を見下ろして呟いた。

もちろん椎名が準備した硫酸くらいですべてが溶けてなくなることはないはずだ。

ある程度小さなサイズになったらどこかへ埋めるとか、燃やすとか、そういう処置を取るつもりなんだろう。

「直樹、本当にそれを使うつもり?」
直樹が右手に握りしめている硫酸の入ったビンを見て聞く。

今からクラスメートたちの体を溶かすなんて、そんなおぞましいことできるはずがなかった。
「だって、やらないとどうしようもないだろ?」
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