友達オーディション
私を抱きしめる両手に力が込められる。
その温もりが嬉しくて離したくないと思ってしまう。

「直樹……私も、ずっと直樹のことが好きだった」
この体制では直樹の顔が見えない。
だからこそ、自分の素直な気持ちを伝えることができた。

これから私達は警察に言ってバラバラに引き裂かれてしまう。
その前に自分の気持を伝えたくなってしまった。

「嬉しいよ奈美。ずっとずっとこうしていたい」
「そんなの私だって……」
でもできないんだ。

私達はただじゃ済まないことをしてしまった。
これは絶対に償わないといけないことだし、隠し通せる自身もなかった。

「ふたりで椎名を拘束しよう」
「え?」
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