友達オーディション
「ほら、あそこに椎名が置いていった道具があるだろ? あの中のスタンガンを使うんだ」
そう言われて私は机の上に置かれている巻物のような袋へ視線を向けた。

椎名はあんな大切なものを教室に置いて出ていってしまったのだ。
きっと、私たちのことを完全に信用しているからだろう。

「まず奈美が椎名に近づいてスタンガンで攻撃する。そのスキに俺が結束バンドを使って椎名を拘束するんだ。後ろ手に親指同士をくっつける。俺たちにしたことを、まんまおかえししてやるんだ」

「そんなことできるの?」
「もちろんできるよ。俺たちはふたり、あっちはひとりだ」

「でも、その後どうするつもり? まさか復讐するの?」
聞くと直樹は私の後ろで笑った。

「復讐なんてしないよ。だけど、もう夜が明ける。5人を殺した罪をすべて椎名にかぶせるんだ」
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