友達オーディション
「あら、もう終わったの?」

私達に気がついた椎名が振り向き、足を止める。
「それが、なかなか溶けなくてどうしようかと思って」
私は適当に会話しながら椎名との距離を詰める。

まずは私が椎名にスタンガンをお見舞いしなきゃ話しにならない。
椎名はすっかり私達に心を許しているみたいで、今は丸腰だ。

「そうなの。どうしようかしら? 今から調理室で煮込んでも随分時間がかかるし」
手を顎に添えて考え込む椎名と、一気に距離を縮めた。
そして背中にまわしていたスタンガンを突き出す。

椎名がそれに気がついて目を大きく見開く。
でも、もう遅い。

私が持つスタンガンはすでに椎名の頬に押し当てられていた。

あとはスイッチを押すだけ……。
「うっ」
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