友達オーディション
そうしているとどんどん生徒たちが登校してきて椎名の席はあっという間に囲まれてしまった。

最初から椎名と会話していた千佳はいつの間にか輪の中からはじき出されて、ふくれっ面をしてこちらへ歩いてやってきた。

「もう少し話がしたかったのにぃ」
「千佳はもう十分話したでしょう?」
「でもぉ……」

千佳からすれば話しても話しても話足りない相手なんだろう。
そう思うと少しだけ寂しい気持ちがした。

千佳にとっての一番の友だちが、私から椎名へ移ってしまうかもしれないなんて、そう思うことは傲慢だろうか。
「で、どんな話をしてきたの?」

「好きな科目とか、好きな食べ物とか」
ごく一般的な会話だったようで、少しだけ安心する。
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