友達オーディション
「だって、最近登校してくる時間がずれてきたでしょう? 無理して一緒に来なくてもいいんじゃないかなって思って」

「今日遅刻したのは椎名と会話したかったからだよぉ?」
「それはわかってるよ。だから私は遅刻しそうになったんだよ」

そう言うと、今度は首を傾げている。
「それが、どうかしたの?」
「どうかしたって……学校に遅刻するのが嫌だって言っているの」

「それじゃ奈美も今度からは早めに来ればいいじゃん。一緒に椎名とおしゃべりしようよぉ」
「千佳、私が言いたいのはそういうことじゃなくて……」
と、言いかけて口を閉じる。
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