友達オーディション
まるで奴隷
今日も千佳は約束時間に来なかった。
10分経過しても千佳が来ないときには構わず学校へ向かう、ということをここ数日間していた。

それでも約束通りにコンビニへ来てしまうのはどうしてなのか。
自分にもよくわからなかった。
2年A組の教室へ向かうにつれて両足が重たくなる。

教室に入りたくないという気持ちが日に日に強くなってきて、今ではドアの前で一呼吸置かないと教室に入れなくなっていた。

イジメられているわけじゃない。
友達との関係がこじれたわけでもない。

ただ……。
ドアを開けると今日もすでに椎名の机の周りにはクラスメートたちが集まってきていた。
明るい笑い声に満たされた教室内は明るくて健全だ。
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