友達オーディション
春美が過剰反応して自分で動いただけ。
「おまたせ! お茶、何種類かあったから全部買ってきたよ!」

春美が両手いっぱいのお茶を持って戻ってきたのを見て椎名が声を上げて笑う。
「春美ちゃん、私そんなに沢山飲めないよ。みんなにも配ってあげて?」

そう言われた春美は素直に他の生徒たちにお茶を配り始めた。
離れていた私のところまでやってきて「はい、どうぞ」と、パックの小さなお茶を手渡してきた。

「え、いいのに」
「いいのいいの。椎名が分けてあげてっていうんだから、そうしなきゃいけないの」

「え?」
それってどういうこと?

と、聞き返そうとしたけれど、春美はすぐに輪の中に戻っていってしまった。
私は複雑な心境でパックのお茶を見つめたのだった。
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