友達オーディション
「い、いえ、なんでもないです」
重人はそう言うとそのままストンッと座ってしまった。

シャーペンはまだ床に転がったままだ。
「重人大丈夫? さっきシャーペンが落ちたよ?」

「え? シャーペンって?」
振り返って質問してくる重人の目はトロンと重たそうだ。

「そんなに眠いの? 珍しいね?」
「僕は眠くなんかないよ。別に、平気」

口の中でブツブツと呟いて前を向いてしまう。
なんだか様子が変だ。

結局シャーペンは拾われないままだし。
あのまま放置していたら休憩時間になったとき、誰かが踏んで壊してしまうかもしれない。

そう思った私は音を立てないように席を立ち、身を屈めて重人のシャーペンを拾った。
「はい」
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