友達オーディション
もう片方の足を窓から離す時にはさすがに緊張して、庭へ落ちてしまうんじゃないかという不安が膨らんだ。

けれどどうにか両足とも金具にひっかけることに成功した。
そこからそろそろと注意しながらパイプを下へと下りていく。

パイプは思ったよりも強度があるみたいで、少しもきしんだり、揺れたりすることもなかった。

どうにか庭に降り立ったときには全身汗でびしょ濡れになっていた。
軒下に予め隠しておいた運動靴を履いて、準備はできた。

ズボンのポケットからスマホを取り出して時間を確認すると、下りてくるまでに15分もかかってしまったことがわかった。
「早く行かなきゃ」

私は小さく呟いて庭から道路へと出たのだった。
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