友達オーディション
驚いてみると私以外の全員が椎名へ向けて拍手していて、私もおずおずと同じようにした。
まるで有名人の講演会が始まるような雰囲気にとまどう。

椎名は転校してきてからまだ一月も経っていないのに、みんなの心を完全に掴んでいる。
「では、これから友達オーディションを始めます」

椎名が真面目くさった顔つきで宣言すると、また拍手が湧いた。

「オーディションの内容は、私が作ってきたテストに答えてもらったり、質問に答えたりするものです」

真剣そのものの椎名を見ているとアルバイトの面接を思い出して思わず笑ってしまいそうになった。

だけど他のみんなは真剣に話を聞いているので、グッと笑いを押し殺した。
それから椎名はバラバラに座っている全員にプリントとエンピツを配り始めた。

B4用紙は裏返しにして机に置かれて、椎名が合図するまで見てはいけないと言われた。
まるで学校のテストみたいだ。
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