友達オーディション
本当のテストじゃないんだからそんなに落ち込む必要はないと思うが、英明からすれば重大なテストだったんだろう。

それから椎名は一枚一枚自分でテスト用紙を回収していった。
「ここで点数を取れなくても落ち込まないでね。ちょっと試してみているだけだから」

椎名は全員分のテスト用紙を回収すると教卓で採点し始めた。

「やっぱり、友達になる子にはある程度学力も必要だと思うの。あまりに勉強ができない子と一緒にいるのって、疲れるでしょう?」

友達を学力で選ぶなんて。
そう思うが、椎名の考えも理解できる。
普段からの会話だったり、勉強の進み具合だったりに相手の学力はどうしてもにじみ出てくる。

とはいえ同じ高校に進学しているのだから、みんなの学力にそこまで差はないはずだ。
そう思っている間にあっという間に椎名による採点が終わった。
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