友達オーディション
中には無理やり教室に入ろうとして止められている生徒までいる。
「お前らなにしてる！　自分の教室に戻りなさい！」

騒ぎを聞きつけた先生が数人やってきて生徒たちを誘導しはじめた。
「ここまで来るとさすがにちょっとって感じじゃない？」

その様子を呆れて見ていたら千佳が私の腕を引っ張った。
なにかと思えば、椎名さんを囲んでいた生徒がちょっと少なくなったみたいだ。

「ねぇ奈美。私たちも椎名さんと話ししてこようよ！」
そう言いながらも私の腕をぐいぐい引いて歩いて行く。

こういうときの千佳は無駄に力が強くで、無理に引き離すことは難しい。
仕方なく一緒についていくことになった。

「は、はじめましてぇ！　私奥川千佳ですぅ」
椎名の前までやってきて千佳がおずおずと自己紹介を始める。

その頬はピンク色に染まっていて、まるで好きな異性を前にしたときみたいだと思った。
「はじめまして。私星沢椎名です」
透き通る声。
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