友達オーディション
ふぅふぅという息遣いがこちらにまで届いてきそうだ。
「残り3分」
椎名が小刻みに時間を告げる。

そうすることで男子たちのモチベーションを上げているんだろう。
あと5分から頑張れる。

あと3分なら全力を出し切ろう。
椎名はそういうのが上手で、人の心の中にスルリと入ってきてしまうんだろう。

「残り1分だよ。頑張って!」
椎名の応援に英明のスピードがグンッと上がった。

今までうさぎ跳びを続けてどこにそんな体力が残っているのか驚くほどの猛スピードだ。
すでに英明が1位だと確定しているのに関わらず、最後に力を振り絞っている。

直樹は最初から最後まで自分のペースを保ち、それを維持しているみたいだ。
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