友達オーディション
「大丈夫だよ重人。さっきのテストと同じで、これも向き不向きがある。この後挽回すればいいんだからね?」

優しい言葉をかけられて重人の目にはまた涙が浮かんできた。
ここで最下位になってもオーディションは続いていくみたいだ。
そう知ってホッとしているのは、ここまでのみんなの頑張りを見てきたからだった。

「はい、じゃあ次は女子の番ね」
男子たちが落ち着いたころ、椎名が教卓の前に戻ってそう言った。

千佳たちと一緒に教室のスタート位置へつくと、意味もなく緊張してきてしまった。
ここで脱落したってどうってことはないはずなのに、競争するとなると身構えてしまう。

「うさぎ跳びなんてしたことないのに」
そう呟いたのは右隣でスタンバイしている春美だった。
春美も重人同様に運動をしているイメージはない。
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