貴方が此処に居るから
「…美綺、本当は何か知ってるんじゃない?知らないフリをしてるだけじゃないの?」
あたしは驚いて、楓の顔をマジマジと見てしまった。
「楓、何言ってんだ?あたしは自分の感情にはメチャメチャ正直だし、性格も超オープンだよ。」
「確かに美綺は基本的には正直だし、性格もオープンだよ。だけど、美綺は、美綺自身のある種類の感情を、無視してる。」
「無視?」
楓はあたしの疑問に答えずに、話を続けた。
「美綺はさっき、『嘘っぱちの情報を流したのは?』って言ったよね。本当は逆の意味で嘘っぱちの情報を流してるのは、美綺自身じゃないの?」
「いやだから」
「美綺は、美綺自身の心に、きっと何かしらで嘘を吐いている。」
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