貴方が此処に居るから
「美綺ーっ。」
後ろを振り返ると、同じ学部の友達・古屋楓(フルヤ カエデ)が居た。
楓は、「出身中学が近所」と云う、不思議な縁で友達になった。
なかなか話が合う、素敵な友達だ。
サボり癖を除けば。
「美綺、お願いがあるんだけど。」
あたしは楓が持っている、小さな紙切れに気付いた。
「…またサボり?」
「…ごめん。」
楓は俯いてしまった。
「…いや、楓が単位落としても良いなら、いくらサボっても構わないんだけど。」
「…美綺、厳しい。」
あたしは溜め息を吐いた。
「……で、今度の理由は何?」
「…………………………式。」
「はい?」
.