貴方が此処に居るから
「婆ちゃんの葬式。私、初孫だったから、休むわけにもいかなくて。」
あたしはまた、溜め息を吐いた。
「そういう事なら、出席カードは必要無いよ。忌引きだもん。」
楓は顔を上げて、聞いてきた。
「本当に?」
「忌引きで欠席つける阿呆な教授は、さすがに日本には居ないだろ。」
よく見ると楓の目は赤く潤んでいて、着ている服は真っ黒だった。
楓は普段、明るい服を選ぶお洒落さんだ。
あたしみたいに黒っぽい服ばかり選ぶ人じゃない。
葬式に直接行く楓を最寄り駅まで見送って、あたしはそのまま授業に出る事にした。
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