貴方が此処に居るから
★ ★ ★
「華ちゃん!!」
あたしは、そのまま一人で帰ろうとする華(はな)ちゃんに声をかけた。
あたしと華ちゃんは同じクラスで同じ部活。
しかし、華ちゃんは不登校気味で、今日は部活に出てくるのも久し振りだった。
それでも、あたしと華ちゃんは、かなり仲が良かった。
「華ちゃん、転校するってホント?」
華ちゃんは驚いたようにあたしを見てから、悲しそうに笑った。
「…美綺、知ってたんだね。ごめんね。」
あたしは何も言えない。
「でも私、此処じゃもう堪えられないんだ。辛い。」
華ちゃんの不登校の理由は、そもそもイジメだ。
どうやら同じ小学校出身の子達が、中学にあがってからイジめてきたらしい。
「華ちゃん………」
行かないで。
…声が出なかった。
「たまたま、父さんも転勤する事になったし。家族でついて行くしかないから。」
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