不純異性交遊禁止。
*
「なんて、叶うわけないんですけど」
次の日、裏庭で小説を読みながら、ため息をひとつ。
物語の中では、主人公たちが手をつなぎながら下校をしている。
実際にしてみたら、どんな気持ちになるんだろう。
「なにが?」
「!!」
ひとりごとに返事をされて、弾かれるように空を見上げる。
高い塀の上から、顔が覗いていた。
「い、壱さん!?」
「おー、名前覚えたな。えらいえらい」
軽やかに裏庭に降り立った壱さんは、わたしを目の前にニコッと笑う。
笑った顔、かわいい……。
「あんなに高いところから落ちて、ケガはしてませんか?」
「大丈夫、大丈夫。俺、運動神経はいいほうなんだよね」
「今日もまた、担任の先生に追いかけられて、逃げてきたんですか?」
「ん? 今日は違うよ。聖良に会いたかったから、来ただけ」
「えっ、わたしに会いに?」
「なんて、叶うわけないんですけど」
次の日、裏庭で小説を読みながら、ため息をひとつ。
物語の中では、主人公たちが手をつなぎながら下校をしている。
実際にしてみたら、どんな気持ちになるんだろう。
「なにが?」
「!!」
ひとりごとに返事をされて、弾かれるように空を見上げる。
高い塀の上から、顔が覗いていた。
「い、壱さん!?」
「おー、名前覚えたな。えらいえらい」
軽やかに裏庭に降り立った壱さんは、わたしを目の前にニコッと笑う。
笑った顔、かわいい……。
「あんなに高いところから落ちて、ケガはしてませんか?」
「大丈夫、大丈夫。俺、運動神経はいいほうなんだよね」
「今日もまた、担任の先生に追いかけられて、逃げてきたんですか?」
「ん? 今日は違うよ。聖良に会いたかったから、来ただけ」
「えっ、わたしに会いに?」