不純異性交遊禁止。

「なんて、叶うわけないんですけど」

次の日、裏庭で小説を読みながら、ため息をひとつ。
物語の中では、主人公たちが手をつなぎながら下校をしている。
実際にしてみたら、どんな気持ちになるんだろう。

「なにが?」

「!!」

ひとりごとに返事をされて、弾かれるように空を見上げる。
高い塀の上から、顔が覗いていた。

「い、壱さん!?」

「おー、名前覚えたな。えらいえらい」

軽やかに裏庭に降り立った壱さんは、わたしを目の前にニコッと笑う。
笑った顔、かわいい……。

「あんなに高いところから落ちて、ケガはしてませんか?」

「大丈夫、大丈夫。俺、運動神経はいいほうなんだよね」

「今日もまた、担任の先生に追いかけられて、逃げてきたんですか?」

「ん? 今日は違うよ。聖良に会いたかったから、来ただけ」

「えっ、わたしに会いに?」
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