不純異性交遊禁止。
おどろいたわたしを、壱さんは目を丸くして見て、少しばつが悪そうな顔をした。

「んー、ごめん。今のは、俺が悪かった」

「?」

首をかしげて、ふと思い出した。
そういえば今まで読んだ小説の中で、似たようなシーンがあったような……。

「あっ。からかったんですね?」

「おそっ。悪い男にだまされそうで、心配だな。昨日もだけど、警戒心なさすぎるしさ」

壱さんは、わたしの隣に座って、すぐにごろんと寝転んだ。
距離が近くて、ドキッとしてしまう。

「壱さんは、どちらですか? 警戒したほうがいい、『悪い男』ですか?」

上目づかいの瞳と、視線が重なる。
伸びてきた手が、わたしの制服の袖をツンッと引いた。

「そうだよ。油断しないでね」

ドキドキ……する。
関わってはいけないと、常日頃から言い聞かせられている男子校の生徒と、一緒にいる。
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