不純異性交遊禁止。
「同じこと? とは?」

いまいちピンとこなくて、疑問符を返す。
壱さんは、わたしの本をパラパラとめくったあと、ページを止めた。

「たとえば、こういう」

と、肩を抱き寄せられて、(ひたい)同士がコツンと当たった。

「っ──!?」

今まで感じたことのない距離に男性の顔があって、近すぎて視界がブレた。

「あれ? 熱くないって言おうとしたのに、すげー熱い。大丈夫?」

「な、なな、なにを……っ?」

「このページだけど」

壱さんが指をさすのは、頭が痛くなったヒロインに、ヒーローが熱を測ったシーン。
『もう。ドキドキすることしないでよっ』と、心の声で訴えている場面だけど、そんな程度で済むなんて、ヒロインの心が強すぎる。

わたしは、バタンと後ろ向きに芝生に倒れてしまった。
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