不純異性交遊禁止。
「うわっ、聖良!?」

壱さんが焦ったように、わたしの手を引く。

「頭打ってないか? ごめん、まさか倒れるとは」

壱さんが心配してくれるけれど、あまり頭に入らない。
す、すごい……。
これが、ヒロインの見ていた世界?
キス出来そうなくらいの距離で、額がくっついて。
肩を抱く手は大きくて、力強くて。
文字を目で追うだけとは、全然違う。

「聖良? 聞こえてる?」

後頭部をさすられながら言われて、ハッと我に返る。

「い、壱さんのすることは、ドキドキすることばかりです……」

動悸がはやくて、おさまらない。
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