不純異性交遊禁止。
「わたしの顔に、なにか付いてますか?」

ぺたぺたと顔をさわってみるけど、見えないから分からない。
折りたたみのミラーも、通学かばんの中にあるから、今は鏡も見られないし。

「いや、可愛いなと思って」

「えっ、なにがですか? どれですか? わたしも見てみたいです」

「おー、そうくる? んー、無理じゃない? 俺と手をつないで、隣歩いてる子のことだから」

壱さんの言葉に、周りをキョロキョロさせる目を止めた。

「手をつないで、隣を……。あれっ、それは、わたしですよ」

「遅っ。そー、そー」

一瞬ドキッと脈が乱れたけど、クスクスと楽しそうに笑っている顔を見て、思い出した。

「もう。また冗談ですね?」

「学習してるな。残念」

「それは、わたしのセリフです。冗談だったのが、残念です」

「別に、俺は冗談とは言ってないけどね」

「騙されませんよ」
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