不純異性交遊禁止。
──ドサッ!

目の前に降ってきたのは、男子。

紺色のブレザーに、チェックのパンツ。
鮮やかな茶色い髪の毛が風に揺れて、少し切れ長の瞳がわたしを見て驚いた顔をした。

「あ、あなたは……」

「しっ。静かに」

「!」

あなたは誰? そう聞こうとした口を、彼の手でふさがれる。

「くそ、見失ったか。どこに行った、佐伯ー!」

海堂学園の方から聞こえる声が、ますます遠ざかっていって、次第に聞こえなくなった。

大きな手が、私の顔に触れている。
動揺してさ迷う瞳が、彼の喉ぼとけを視界に入れた。
ボタンをふたつも開けたシャツから、健康的な肌色が見えている。

「よし、行ったな」

そう言って、彼は安心したようにわたしから手を離した。

「っと、悪い。人がいると思わなくて、つい」

「い、いえ……」

声が震える。
ドキドキが止まらない。

な、なに!? これは!?
わたしに、なにが起こってるの?
女生徒しかいないはずの学院に、それも目の前に、男子がいる。
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