華ちゃんとまた花火が見たいよ
 枚方の水都くらわんか花火大会に行った。

 華ちゃんは浴衣で来た。

 とっても可愛かった。渋々来たのと違う? と思った。

 花火がとてもきれいで迫力があった。

 花火が開くたび、音が体に響いた。

 クライマックスが近づいてきて、華ちゃんは何故か泣いた。

「今年の花火もこれが見納めやな」といって泣いた。

 僕は肩を抱きたかったけど、できなかった。

「そうだね、夏も終わりだね」と翔は言った。

 それで華ちゃんは余計に泣いてしまった。

 店長とは終わったのかもしれないと思った。

 花火の後、ごはん食べようと誘った。

 華ちゃんのことはまだ未成年と思っていた。

「一浪してるので二十歳になってるよ。居酒屋に連れてって」と華ちゃんは言った。

「あまり飲んだことないけど」とも言った。

 居酒屋での会話はとても楽しかった。

 華ちゃんが休む前の関係に戻った気がした。

 でも、やっぱり華ちゃんが休む前の関係とは違っていた。

 飲み会終わりに華ちゃんは帰りたくないと言った。

 翔は戸惑ったが、結局、わかったと言ってホテルに行った。

 華ちゃんは真っ暗にしてと頼んだ。二人はからだを重ねた。

 帰り道で翔は思い切って交際を申し込んだ。

「僕と付き合って欲しい」

「今日だけにして、今日の事は忘れて、友達でいようよ」と華ちゃんは言った。

 翔は何も言えなかった。

 翔はグアムへ旅立った。

 LINEのやり取りをしたが、三月が過ぎていった。

 LINEで長文をつい送ってしまう。返事は短かった。

 翔は華ちゃんの顔が見たくて、ビデオ通話をしようと持ちかけた。

『勘違いしないで、もう終わりにしよう』とメッセージが返ってきた。

『わかった。たまにメッセージさせて』と頼んだ。

 それから返事は来なくなった。

 でも、不思議とブロックはされなかった。

 未練たらしく時々写真を送ったりした。

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