司法書士は看護学生に翻弄される


林さんには正直に話さないと、しつこく何処までも質問攻めにされ、噓をつくと見破られそうなそんな雰囲気があった。
その場でいい繕った友達の家に泊めてもらうという嘘も見破られてしまった。

「鍵が壊されたのは今回が初めてです。これ以上私はお金を持っていませんし、兄に関してはもう限界だと今回の事で思いしりました。警察には通報しない代わりに、今後兄とは連絡を絶ちます」

優菜は正直に今の気持ちを告げた。兄に何かしてあげたくとも、もう現金は一銭もない。次の給料が出るまで家賃も払えない。

林さんは「そうだね。多分君が一番解っていると思う」といって、それ以上兄に関しての説教はしなかった。

林さんは10万円優菜に渡した。

これで急場をしのいで、アルバイトの給料が出たら、できるならお兄さんに居所が知られない場所へ引っ越した方がいい。もし無理なら、現金は持ち歩くか家には置かないで金融機関に預けなさい。

まるで父親かのようにそう言われた。
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