司法書士は看護学生に翻弄される


「ところで……」

食後のコーヒーを飲みながら、林さんが話し始める。

「君が『この先どうするか考えている』と言った言葉の意味だけど。僕の予想では、お店のお客さんの愛人になることを指しているんじゃないかと思っている」

図星を突かれてゆうなは一瞬固まってしまった。

確かにどう考えても、昨夜ファミレスで話したことを林さんはしっかり覚えていたようだ。

「そういうわけでは……」

と言葉を濁してみた。

「確か、そういう関係はいくらお金を貰っても嫌なので。と、君はそう言っていたよね」

お見通しだよという林さんの視線の前では、悪だくみを見抜かれてる子供のように挙動不審に振る舞ってしまう。

背に腹はかえられない。ここは開き直って、優菜は真っ直ぐ林さんの目を見た。

「あと半年の間、住む場所と給料をもらえるんです。今、私が考えなければならないことは、明日からの住まいとこれから半年間生きるための食費、生活費のことです。普通の人ならばこんなタイミングで愛人の話があること自体ありえない。これは私にとってはとても条件の良い幸運なことです」

林さんは優奈の話しを、頷きながら最後まで聞いていた。

「そうだね、そうかもしれない……」



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