司法書士は看護学生に翻弄される


「自分のぶんも作るので一人増えただけの手間はたいしてかかりません。どうぞできるだけ夕食は一緒に食べてください。質素な物はなるべく出しませんので……」

優菜はそう言いながら、日曜日の夕飯をテーブルに並べた。
フードプロセッサーを初めて使ってカボチャのポタージュスープを作った。これは画期的な器具だと思った。これからはコーンポタージュスープだってビシソワーズだって何だって自宅で作れる。

チキンと野菜をグリルで焼いて、作り置きできるひじきの煮物や、切り干し大根の煮物なんかも小鉢に入れて食卓へ並べた。

昨日、お店に辞めることを伝えた。中谷さんにも来週が最後ですとお礼を言った。

給料に色を付けて先払いしてもらえた。優菜はこう見えて人気があった。話しが上手い訳でも、愛想が良い訳でもなく、ただ若く顔が可愛いという理由だけでお客さんからの指名を取っていた。
後はお客さんの話を聞きながら頷いていただけでお金がもらえた。

時々触ってくるお客さんはいたが上手くあしらう方法を早いうちに身に着けた。今考えると有り難いアルバイトだったのかもしれない。お酒が苦手だったのでそこが辛かったが。

最近のキャバ嬢の情報はネットで拡散される。あの子は誰とでも寝るとか、自分はあの女の子とやった、とかすぐに噂は広まる。
枕営業などしたことのない優奈は清楚で貞淑なイメージがついていたようだった。そこも人気の一つだったようだ。


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