司法書士は看護学生に翻弄される
キャバクラを辞め今後半年間、林さんにお世話になるつもりでいます。と彼に報告した。
「分かりました。じゃあ半年間よろしく」
林さんは笑顔でそう言うと、これからは勉強に専念してねと優しく励ましてくれた。
「こんなに頑張って夕食を作ってくれなくても構わない。普段どおりでいいよ」
たくさんの手の込んだ料理を前に、林さんが少し気まずそうに優菜に言う。
「そんなに頑張ってってわけではなく、使ってみたい道具がたくさんあったのでつい作りすぎてしまいました」
実際、林さんのマンションのキッチは、料理好きの女子にとっては憧れの場所だった。
「僕は外食することも多い、気を使わないで……」
林さんはそう言うと食べた食器を流しに運んだ。急いで、私がやりますので申し出たが、これぐらいは自分でやらせてと言ってくれた。
「お願いがあります。調理をしている様子を、スマホで撮影して、動画に上げたいのですがいいですか?」
優菜は林さんに聞いてみた。
「えーとそれは SNS に載せたいってこと?構わないけど身バレしないようにだけは気をつけてください。それならば僕は構わないよ」
駄目だと言われる覚悟をしていたが、以外にもOKしてくれた。林さんは寛大だ。
自分の料理をするモチベーションを上げるにももってこい。
料理をするのは好きだし、この台所を使ってたくさん料理を作るのが楽しいので、と自分の考えていることをそのまま林さんに伝えた。
優菜はアルバイトを禁止されている今、何とかして家で収益を得たいと考えていた。
多分動画でお金を稼ぐことはそんなに甘くはない。
けれど、以前からチャンスがあればやってみたいと思っていたことの一つだった。
それを聞いて林さんは、なるほど、うまくいけばいいね。笑顔で了解してくれた。