司法書士は看護学生に翻弄される
林さんの知らないところで
「妊娠している可能性はありませんか?」
衝撃的な医師からの言葉に息を呑んだ。
医師から産婦人科に行くようにと勧められ、その足で急いで産科へ行く。
もともと不順だったせいか、ここ最近生理がないことに気づいていなかった。
林さんは避妊をしていたし、妊娠するなんてありえないと思っていた。
どうしたらいいのか分からない。
最近体調が優れなかった。だが、お腹が膨らんでるわけでもないし普通に生活を送っていた。
妊娠なんて、私は……
林さんが帰ってきたら相談しよう。
そう思った矢先に ラインが入った『今夜は外で食事をとるので晩御飯は要りません』という彼からの連絡だった。
薄暗い部屋の中、ただ、ぼーっと窓の外を見ていた。お腹をさすりながら、ここに新しい命が宿っているんだということを考えた。
優菜はもうとっくに母子手帳をもらっていてもおかしくない時期、妊娠6ヶ月に入っていた。
産まない選択肢はもうない。
優菜は決心し、スマホに手を伸ばした。
電話帳から連絡先を確認するとボタン押した。
「……プルルルル……プルルルル……プルルルル」
「はい、もしもし……」
「……お兄ちゃん……」
「優菜か?……優菜お前、ぜんぜん連絡がつかないし……」
「……お兄ちゃん……助けて」