司法書士は看護学生に翻弄される
今日看護師試験の合格結果が分かった。晴れて看護師として仕事ができるようになったのだ。
目標を達成した喜びはひとしおで、今までの苦労を思うと、よくやったなと自分を褒めてやりたい気持ちでいっぱいになった。
林さんは合格したらお祝いしようと、シティホテルを予約してくれていた。
全客室にバルコニーが完備され、そこからの眺めは息をのむほど美しかった。
美味しい食事をとって、夜はゆっくり夜景を見ながら林さんと愛し合った。
さすがに激しく抱き合うのはよくないと思ったので「久しぶりなのでゆっくりしてください」とお願いした。
林さんは本当に大事そうに優しくとても優しく優菜を抱いてくれた。
熱い涙が一筋優菜の頬を伝った。
「こんな豪華なホテル生まれて初めてです」
喜んで林さんに言うと、君は何でも初めてだねとニコッと笑った。
「君の初めては全部僕が独り占めだ」
その言葉に優奈はまた涙が出てきた。
「引っ越しの手伝いは業者に任せているので大丈夫です。荷物も少ないですし家具や家電は全て寮の部屋に付いていますので」
「いや、それでも何かと男手は必要だろうから、平日でも休みを取るよ」
林さんはとても心配してくれていたが、なんとかそこはごまかさなければならない。
「林さん来週出張ですよね。ちょうどその日に引っ越しなんです」
残念そうに優菜は言った。
林さんは3日間、北海道への出張が決まっていた。
優菜はわざとその日に合わせて引っ越しの日を決めたのだ。
「君の顔が最後に見られないのは寂しいから、出張やめたいよ。最後といっても家は近いからまたすぐに会えるけど。北海道のお土産持っていくからね」
林さんは優菜を抱き寄せた。
仕事の愚痴は、ほとんど聞いたことがなかった。出張をやめたい、なんてわがままを言うなんて珍しい。
優菜はクスクス笑った。
「優菜、悪い。もう1回抱いてもいい?」
優菜は頷く。
「私もお願いします。今度は後ろから抱いてほしい」
優菜にしては珍しく体位の指定をする。
もちろん膨らみかけたお腹や、丸みを帯びて変化してきた体型を隠すためだった。
それが2人にとって最後の夜になった。