司法書士は看護学生に翻弄される


「林さんはキャバクラに飲みに来られたりするんですね」

売り上げに繋げるため林さんをお誘いしたわけではありませんので、と一応営業目的ではないと付け加える。

「そうだね、貢献できればいいけれど僕はあまり飲みに行かないかな。付き合いで今日のようなことはたまにあるけどね」

ははっと笑って林さんは答える。豪遊できるほどお金持ちでもないから、ごめんねと言った。

「いえいえ、私もこのアルバイトはあと半年だけですし、できればお酒関係の接客業をしないで暮らせた方がいいので、ぜんぜん気になさらないでください」

優菜は、彼の変に自分を過大評価して話したりしない、普通っぽくて気を遣わなくてもいい感じが気に入った。

「優菜ちゃんのお店は、先輩もちょっと厳しそうな人だったし、何かとトラブルも多そうだからも大変だろうね」

さっきの瑠璃さんの事を言っているんだと思った。私は彼女から、というかキャバ嬢の先輩から嫌味を言われることが少なくなかった。

「瑠璃さんのお客さんが、私の事を気に入ってくださったので少し機嫌が悪かったのかもしれないです」

「そうなんだね」

林さんは先を促すように頷いた。

「え……と……」

「愚痴が言いたければ聞きますよ。こう見えて聞き上手ですから」

食後のコーヒーを口に運びながら相談事を聞くのが仕事だし。と付け足した。

正直イライラしてストレスが溜まっていたのは事実だった。
でもお客さんに愚痴るなんてやってはいけない事だし、聞く側も気分のいい話ではないだろう。

「あと半年なんで、先輩からの嫌がらせでも何でもこい!です。大丈夫です」

そう言って話をはぐらかしたが、林さんどうも人から話を聞きだすのに長けているというか、うまい具合に先輩キャバ嬢の嫌がらせの原因を話すことになってしまった。
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