『ル・リアン』 ~絆、それは奇跡を生み出す力!~ 【新編集版】
月曜日の朝が来るのを待ちかねて、製剤研究所に足を運んで所長に面会した。
「やっていますよ。薬剤の放出制御の技術に目処が立ちつつあります」
よくぞ訊いてくれた、というように嬉しそうに笑った。
「では、1日1回服用の薬は?」
「可能性は十分あります。しかし……」
所長は顔を曇らせた。
「研究開発費と研究員が足りません。会社の費用と人員はほとんど新薬の開発に割り当てられていますから」
最上を羨ましそうな目で見た。
その通りだった。
社長である父に頼み込んで、研究開発費の大部分を新薬開発に回してもらっていた。
しかしそのことで製剤研究所にとばっちりがいっていたとは知らなかった。
いたたまれない気持ちになった。
「完成させるためには、どのくらいの費用と人員が必要ですか?」
何倍増と言われるのを覚悟して尋ねたが、所長が要望したのは大した額や増員ではなかった。
それくらいで……、
唇を噛むしかなかった。
社長の座を約束されている者としてもっと全体を見る目を身につけなければならないのに、それができていなかった。
狭量さを恥じた。
「わかりました。父と、いや、社長と相談してみます」
所長に礼を言って、本社へ急いだ。
「やっていますよ。薬剤の放出制御の技術に目処が立ちつつあります」
よくぞ訊いてくれた、というように嬉しそうに笑った。
「では、1日1回服用の薬は?」
「可能性は十分あります。しかし……」
所長は顔を曇らせた。
「研究開発費と研究員が足りません。会社の費用と人員はほとんど新薬の開発に割り当てられていますから」
最上を羨ましそうな目で見た。
その通りだった。
社長である父に頼み込んで、研究開発費の大部分を新薬開発に回してもらっていた。
しかしそのことで製剤研究所にとばっちりがいっていたとは知らなかった。
いたたまれない気持ちになった。
「完成させるためには、どのくらいの費用と人員が必要ですか?」
何倍増と言われるのを覚悟して尋ねたが、所長が要望したのは大した額や増員ではなかった。
それくらいで……、
唇を噛むしかなかった。
社長の座を約束されている者としてもっと全体を見る目を身につけなければならないのに、それができていなかった。
狭量さを恥じた。
「わかりました。父と、いや、社長と相談してみます」
所長に礼を言って、本社へ急いだ。