『ル・リアン』 ~絆、それは奇跡を生み出す力!~ 【新編集版】
約束の日がやって来た。
待ち合わせをしたのは夕方の5時だった。
サラリーマンで混む前にガッツリ食べてしっかり飲む心づもりだった。
だから、カウンター席の端に並んで座るや否や90分間飲み放題を躊躇わずに選び、次々に料理を注文した。
実は料理が来る前に愚痴を吐き出そうと思っていたのだが、客が少ないせいか頼んだ料理がどんどん運ばれてきて、それどころではなくなった。
枝豆、たこわさび、もろきゅう、刺身の盛り合わせ、鶏のから揚げ、だし巻き玉子、もつ煮込み、焼き鳥の盛り合わせ、ホッケ焼き、そして、〆の茶漬け。
愚痴を言えないまますべての皿が空になった。
腹が膨れると、もうどうでもよくなった。
歯の間に挟まった海苔を爪楊枝で取って口の中をお茶ですすいでいる時だった。
「実は……彼女ができた」
最上の突然の告白にお茶が気管支に入って思い切りむせてしまった。
「大丈夫か?」
最上がびっくりしたような顔で背中を擦った。
「いきなり言うなよ。驚くじゃないか」
「悪い、悪い。なんか切り出しにくくてさ」
彼は右後頭部を照れ隠しのように掻いた。
「でも、ヤッタじゃん。大学の同級生?」
「いや、そうじゃないんだ。実は、高校3年生」
「えっ、高校生? 高校生って、どこで知り合ったんだよ」
横腹を肘で突くと、彼女との馴れ初めを照れくさそうに打ち明けた。
「写真見せろよ」
すると彼はもったいぶるように間を置いたが、それでも定期入れを開いて写真を見せてくれた。
「可愛いじゃん」
「うん、まあね」
その声と顔が余りにも嬉しそうだったので、突っ込みたくなった。
「どこまでいってんの?」
「どこまでって……」
「隠すなよ」
すると、周りが気になるのか、耳元に口を近づけてきた。
「キスはした」
「キスまでか?」
小声で聞き返すと、
頷きながら、ぼそぼそっと低い声を発した。
「まだ高校生だから……」
それ以上のことは一生懸命我慢している、
と言った。
待ち合わせをしたのは夕方の5時だった。
サラリーマンで混む前にガッツリ食べてしっかり飲む心づもりだった。
だから、カウンター席の端に並んで座るや否や90分間飲み放題を躊躇わずに選び、次々に料理を注文した。
実は料理が来る前に愚痴を吐き出そうと思っていたのだが、客が少ないせいか頼んだ料理がどんどん運ばれてきて、それどころではなくなった。
枝豆、たこわさび、もろきゅう、刺身の盛り合わせ、鶏のから揚げ、だし巻き玉子、もつ煮込み、焼き鳥の盛り合わせ、ホッケ焼き、そして、〆の茶漬け。
愚痴を言えないまますべての皿が空になった。
腹が膨れると、もうどうでもよくなった。
歯の間に挟まった海苔を爪楊枝で取って口の中をお茶ですすいでいる時だった。
「実は……彼女ができた」
最上の突然の告白にお茶が気管支に入って思い切りむせてしまった。
「大丈夫か?」
最上がびっくりしたような顔で背中を擦った。
「いきなり言うなよ。驚くじゃないか」
「悪い、悪い。なんか切り出しにくくてさ」
彼は右後頭部を照れ隠しのように掻いた。
「でも、ヤッタじゃん。大学の同級生?」
「いや、そうじゃないんだ。実は、高校3年生」
「えっ、高校生? 高校生って、どこで知り合ったんだよ」
横腹を肘で突くと、彼女との馴れ初めを照れくさそうに打ち明けた。
「写真見せろよ」
すると彼はもったいぶるように間を置いたが、それでも定期入れを開いて写真を見せてくれた。
「可愛いじゃん」
「うん、まあね」
その声と顔が余りにも嬉しそうだったので、突っ込みたくなった。
「どこまでいってんの?」
「どこまでって……」
「隠すなよ」
すると、周りが気になるのか、耳元に口を近づけてきた。
「キスはした」
「キスまでか?」
小声で聞き返すと、
頷きながら、ぼそぼそっと低い声を発した。
「まだ高校生だから……」
それ以上のことは一生懸命我慢している、
と言った。