『ル・リアン』 ~絆、それは奇跡を生み出す力!~ 【新編集版】
しかし、妻と娘は東京生活初日から大阪との違いを思い知らされることになった。
駅のエスカレーターで右側に立って嫌な思いをしたのだ。
〈大阪は右立ち、東京は左立ち〉という暗黙のルールをよく理解していなかった妻は、娘と共に当然のように右側に立っていたが、急いでいる人がぶつかるように通り過ぎていくのを見て肝を冷やしたのだという。
中には、チェッと舌打ちしながら通り過ぎる人もいたらしい。
「なんで言ってくれなかったの?」
妻が不満そうな表情を浮かべたが、それだけでは終わらなかった。
「他に違うことはないの?」と畳みかけるように追及してきたのだ。
しかし、思いつくことは何もなかった。
それでも、翌日の夜テレビを見ている時にふと気がついた。
画面では大阪の芸人が方言で笑いを取っていた。
「そうだ、アホとバカ。大阪では軽い気持ちでアホという言葉を使うけど、東京ではめったに使わないし、アホと言われたら侮辱されているように思うかもしれない」
その途端、妻が顔を曇らせた。
麗華が「アホちゃう」という言葉をよく使うからだ。
妻が真剣に悩み始めた。
駅のエスカレーターで右側に立って嫌な思いをしたのだ。
〈大阪は右立ち、東京は左立ち〉という暗黙のルールをよく理解していなかった妻は、娘と共に当然のように右側に立っていたが、急いでいる人がぶつかるように通り過ぎていくのを見て肝を冷やしたのだという。
中には、チェッと舌打ちしながら通り過ぎる人もいたらしい。
「なんで言ってくれなかったの?」
妻が不満そうな表情を浮かべたが、それだけでは終わらなかった。
「他に違うことはないの?」と畳みかけるように追及してきたのだ。
しかし、思いつくことは何もなかった。
それでも、翌日の夜テレビを見ている時にふと気がついた。
画面では大阪の芸人が方言で笑いを取っていた。
「そうだ、アホとバカ。大阪では軽い気持ちでアホという言葉を使うけど、東京ではめったに使わないし、アホと言われたら侮辱されているように思うかもしれない」
その途端、妻が顔を曇らせた。
麗華が「アホちゃう」という言葉をよく使うからだ。
妻が真剣に悩み始めた。